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地方と都市の医療格差はどれくらいある?医師が多い都道府県ランキング

2020年5月16日

移住を考えるとき、気になるのが医療事情。都会と地方は格差があるのでしょうか? 都会のほうが安心? 小児科、産婦人科、歯科数の状況は? 無医地区の数、人口あたりの医師の数の都道府県ランキングから、地方の医療事情を見ていきましょう。

地方の医療事情は?都会と格差がある?

厚生労働省の調査では、2018年12月31日時点で国内の医療施設(病院・診療所)に従事する医師は31万1,963人でした。また、人口10万人あたりの医師数は246.7人で、2年前から6.6人の増加となっています。一方、医療機関を利用できない「無医地区」も全国に600ヶ所以上あり、医療体制の充実度は地域によって差があります。医療事情の地域格差はどの程度なのか、またどういった領域で見られるのでしょうか。医師数から都道府県別の医療事情について探ってみました。

厚生労働省-平成30(2018)年 医師・歯科医師・薬事市統計の概況

無医地区が多い都道府県は?

無医地区とは『医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点として、おおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地区。』と定義されたものです。厚生労働省の調査によると、そうした「無医地区」は2014年の調査時点で全国に637ヶ所にのぼります。生活するにあたって医療体制は充実しているに越したことはないですよね。特に、住んでいる地域に医療機関が1つもないとしたら不安は大きいでしょう。

都道府県別ワーストランキング

厚生労働省の無医地区に関する調査から、都道府県別の無医地区数をランキングにまとめました。

都道府県別無医地区数

順位都道府県無医地区数(2009年10月末)無医地区数(2014年10月末)増減増減比
1北海道10189-120.881
2広島県535411.019
3高知県4538-70.844
4大分県4038-20.95
5愛知県212321.095
6岡山県2423-10.958
7島根県192121.105
8岩手県182021.111
9新潟県2520-50.8
10和歌山県152051.333
11熊本県2220-20.909
12茨城県2019-10.95
13栃木県141841.286
14青森県2417-70.708
15福岡県1817-10.944
16徳島県1815-30.833
17宮城県121421.167
18宮崎県1714-30.824
19長野県1813-50.722
20静岡県1613-30.813
21京都府131301
22富山県81021.25
23秋田県149-50.643
24石川県109-10.9
25福井県109-10.9
26兵庫県119-20.818
27奈良県109-10.9
28山梨県8801
29山口県87-10.875
30愛媛県6711.167
31沖縄県107-30.7
32群馬県6601
33鹿児島県126-60.5
34岐阜県5501
35香川県5501
36福島県133-100.231
37三重県43-10.75
38滋賀県43-10.75
39鳥取県3301
40山形県10-10
41埼玉県000
41千葉県000
41東京都000
41神奈川県000
41大阪府000
41佐賀県000
41長崎県40-40
合計705637-680.904

無医地区数が最も多いのは北海道です。広大な面積をもつ反面、人口や都市機能は札幌などの都市部に偏っており、医療体制が行き渡らない地域が多いことも頷けます。また、大都市圏のひとつである愛知県がワースト5位に入っていることは意外かもしれません。後述する人口あたりの医師数で見ても、愛知県は十分とはいえない状況です。容易に医療にアクセスできない環境は、普段の通院に不便であるだけでなく、緊急時の搬送にも時間がかかり生命に関わる懸念があります。

厚生労働省 平成26年度無医地区等調査及び無歯科医地区等調査の結果

全国的には無医地区は減少傾向

以下は厚生労働省の調査から、無医地区の数と無医状態の人口について推移をまとめたものです。表からわかるように、無医地区の数は年々減少しています。

全国の無医地区数、無医状態の人口

1978年1979年1989年1994年1999年2004年2009年2014年
地区数1,7501,2761,088997914787705637
人口504,819人319,796人285,034人236,193人203,522人164,680人136,272人124,122人

1978年の調査時には1,750ヶ所もの無医地区、50万人以上の無医状態の人口が記録されています。その後無医状態の数字は年々小さくなっており、2014年までの間に地区にして64%、人口にすると75%の減少が見られます。無医地区が改善され無医地状態人口も減少していますが、該当地区に居住する人口そのものが減ったことも要素として考えられるでしょう。

医師が多い都道府県は?

次に、従事する医師数が多い地域を探ってみましょう。都道府県別に人口10万人あたりの医師数をまとめ、多い順にランキングにしたのが以下の表です。

医療施設に従事する医師の状況(従事地、人口10万人当たり)

順位都道府県人口10万人あたりの医師数順位都道府県人口10万人あたりの医師数
1徳島県329.5人25宮崎県246.6人
2京都府323.3人26北海道243.1人
3高知県316.9人27沖縄県240.7人
4岡山県308.2人28山梨県239.2人
5東京都307.5人29宮城県238.4人
6長崎県306.3人30秋田県234.0人
7鳥取県304.8人31長野県233.1人
8福岡県302.6人32群馬県228.3人
9和歌山県302.1人33滋賀県227.6人
10熊本県289.8人34栃木県226.1人
11島根県286.3人35山形県226.0人
12石川県284.1人36三重県223.4人
13香川県282.5人37岐阜県215.1人
14佐賀県280.0人38愛知県212.9人
15大阪府277.0人39神奈川県212.4人
16大分県275.2人40静岡県210.2人
17鹿児島県270.8人41福島県204.9人
18愛媛県269.2人42青森県203.3人
19広島県258.6人43岩手県201.7人
20奈良県258.5人44新潟県197.9人
21富山県254.4人45千葉県194.1人
22山口県252.9人46茨城県187.5人
23福井県252.6人47埼玉県169.8人
24兵庫県252.2人全国平均246.7人

医師数が1番多いのは徳島県の人口10万人あたり329.5人で、全国平均を大きく上回ります。全体として西日本が上位に入っている傾向がはっきり見てとれ、5位に東京都が入っている他には、東日本の県はいずれも全国平均を下回っています。1位の徳島県と最下位の埼玉県では、その差は1.94倍です。地域間の差が生まれる要因として、患者数の多さもありますが、研修医の受け入れ先の偏りという要素が大きいでしょう。

症例が豊富な大規模病院は研修先として人気があり、そうした病院は都会の病院や地方の大病院に集中する傾向にあります。一定期間特定の地域での従事を義務づける「地域枠」を医学部に設けるなど、地域の医師不足を改善する試みは各自治体で行われていますが、格差の解消には至っていないのが現状です。

その他に特徴的なところでは、高知県は医師数が全国3番目に多いですが、一方で無医地区の数は全国ワースト3位に入っていました。高知県の人口は高知市に集中しているため、医療機関も都市部に偏り、このようなアンバランスが生じていると見られます。

歯科医が多い都道府県は?

同様に、歯科について見ていきましょう。「歯科医院の数はコンビニよりも多い」という表現が話題になったように、地域によっては飽和状態とも言われる歯科ですが、地域によって大きな差があります。健康に問題がない人や若者でも、定期健診など通院の機会が多いのが歯科です。無理なく通える範囲に歯科がないとなると、暮らしの不安材料のひとつになります。

無歯科医地区の都道府県別ランキング

都道府県別の無歯科医地区数は以下の通りです。

無歯科医地区数

順位都道府県無歯科医地区数順位都道府県無歯科医地区数
1北海道8425兵庫県14
2広島県6026沖縄県14
3大分県4927石川県13
4高知県4728奈良県13
5岡山県4329秋田県12
6島根県4030富山県10
7鹿児島県3231山梨県10
8和歌山県3132岐阜県9
9愛知県2933香川県9
10新潟県2734福井県7
11岩手県2635福島県6
12愛媛県2636群馬県6
13長野県2337滋賀県5
14茨城県2138佐賀県5
15徳島県2039長崎県5
16福岡県2040三重県3
17山口県1941鳥取県3
18京都府1842山形県1
19熊本県1843埼玉県0
20青森県1743千葉県0
21宮崎県1743東京都0
22栃木県1643神奈川県0
23静岡県1643大阪府0
24宮城県14

無歯科医地区とは『歯科医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点として、おおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に歯科医療機関を利用することができない地区。』のことを指します。無歯科医地区数も無医地区と同様、北海道が1位でした。他の上位自治体も無医地区と同じ傾向のランキングになっています。

歯科医が多い都道府県ランキング

都道府県別の人口あたり歯科医師数のランキングは以下の通りです。

医療施設に従事する歯科医師の数(人口10万人あたり)

順位都道府県人口10万人あたりの医師数順位都道府県人口10万人あたりの医師数
1東京都115.9人25兵庫県71.6人
2徳島県107.6人26福島県71.3人
3福岡県103.5人27群馬県71.3人
4岡山県90.9人28佐賀県70.6人
5広島県89.6人29山口県70.1人
6大阪府86.7人30栃木県68.4人
7新潟県86.4人31愛媛県67.4人
8長崎県85.3人32茨城県67.0人
9岐阜県83.0人33奈良県66.6人
10千葉県81.1人34宮崎県65.7人
11北海道80.6人35静岡県65.6人
12鹿児島県78.9人36三重県64.7人
13宮城県78.1人37大分県64.5人
14神奈川県78.1人38秋田県63.8人
15長野県77.1人39山形県61.2人
16岩手県76.6人40鳥取県60.9人
17和歌山県75.2人41富山県59.9人
18熊本県74.4人42石川県59.6人
19愛知県74.1人43沖縄県58.0人
20山梨県73.6人44福井県57.0人
21香川県73.5人45島根県56.2人
22京都府72.9人46青森県55.6人
23高知県72.0人47滋賀県54.9人
24埼玉県71.9人

医師数で5位だった東京が、歯科医師数では1位です。医師数ランキング1位だった徳島県は歯科医師数でも2位と高ランクで、歯科医療についても医療者の数が充実していることがわかりますね。全体を見ると、医師数のようなはっきりとした東西差は見られませんでしたが、地域差は同程度にあり1位の東京都と最下位の滋賀県では2倍以上の開きがあります。

小児科、産科が多いのは? 都道府県別ランキング

若い世代や子育て世代にとって、小児科・産科の医療体制は、安心して暮らせるかどうかに大きく関わる問題です。小児医には大きな負担がかかっているといわれ、産科医不足は「出産難民」という言葉がうまれたように全国的に問題になっています。都内の医療機関へかかる人も多いと考えられますが、長距離の移動が難しく急を要することもある産科や小児科については、特に地元に充実していてほしい領域でしょう。診療科目別の統計から、小児科と産科の医師数についてまとめました。

小児科

医師数全体の傾向と同じく、西日本が多く東日本が少ない傾向にあります。小児科は鳥取県が最も多く、次いで東京都となっています。1位の鳥取県は181.7人、最下位の茨城県では83.4人と差は2.2倍でした。

都道府県別、小児科医師数ランキング(人口10万人あたり)

順位都道府県人口10万人あたりの人数順位都道府県人口10万人あたりの人数
1鳥取県181.7人25長野県111.4人
2東京都155.1人26山形県111.0人
3京都府143.8人27北海道109.4人
4高知県134.2人28奈良県108.8人
5徳島県132.5人29佐賀県105.4人
6山梨県130.9人30新潟県105.0人
7香川県130.3人31広島県103.8人
8岡山県129.2人32宮城県102.9人
9石川県128.7人33岐阜県102.4人
10和歌山県126.6人34福島県102.3人
11秋田県126.5人35岩手県101.4人
12福岡県126.3人36神奈川県101.1人
13大分県126.2人37栃木県100.0人
14長崎県121.6人38沖縄県100.0人
15滋賀県121.3人39三重県98.6人
16福井県121.2人40青森県94.9人
17群馬県120.7人41静岡県92.8人
18富山県120.5人42愛知県92.4人
19大阪府118.8人43埼玉県91.0人
20島根県115.5人44鹿児県90.2人
21愛媛県115.4人45千葉県89.6人
22兵庫県113.9人46宮崎県88.3人
23山口県112.4人47茨城県83.4人
24熊本県111.9人全国平均112.4人

産科

小児科医師数と同様に鳥取県が1位です。鳥取県は無医地区数も全国39位と少なく、人口あたり医師数でも全国7位と、医師の数が充実していることがわかりますね。最下位は医師数全体と同じく埼玉県で、首都圏のベッドタウンとして多くの人口を抱えており、医師不足が長年の課題となっています。

都道府県別、産婦人科・産科数ランキング(人口10万人あたり)

順位都道府県人口10万人あたりの人数順位都道府県人口10万人あたりの人数
1鳥取県64.0人25栃木県46.9人
2和歌山県62.9人26岐阜県46.9人
3長崎県61.9人27京都府46.9人
4徳島県59.8人28岩手県45.4人
5島根県54.8人29長野県45.4人
6石川県54.1人30熊本県45.0人
7福井県53.8人31大分県44.7人
8鹿児県51.7人32静岡県44.2人
9東京都51.6人33群馬県44.1人
10宮崎県50.8人34福岡県43.9人
11山梨県50.7人35愛知県43.6人
12愛媛県50.4人36広島県43.3人
13秋田県50.3人37兵庫県43.1人
14香川県50.3人38奈良県41.8人
15富山県50.0人39青森県40.5人
16沖縄県49.5人40北海道39.8人
17高知県49.2人41福島県39.4人
18岡山県49.1人42茨城県39.4人
19三重県48.7人43滋賀県39.3人
20山形県48.1人44神奈川県39.1人
21山口県47.7人45新潟県37.1人
22佐賀県47.7人46千葉県35.6人
23宮城県47.2人47埼玉県30.3人
24大阪府47.1人全国平均44.6人

まとめ

人口あたり医師数で見ると、地域間で医療格差は確実に存在するといえます。東京都を除くと、全体としては東日本より西日本の都道府県のほうが充実している傾向が見えました。また、埼玉県・千葉県・茨城県などは全国でワーストに近く、東京周辺であるからといって恵まれているわけではないことがわかります。

医師数は多いが無医地区数も多い高知県に見られるように、県内でも地域によって偏りがあることも無視できません。健康な時はあまり意識しませんが、いざというときに必要な医療をスムーズに受けられることは、暮らしを送る上でとても重要な社会インフラです。通院できる範囲に医療機関があるか、救急時や高度医療が必要な場合の医療体制はどう想定されるかなど、その土地の具体的な医療状況について知っておく必要があるでしょう。

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